「俺が知る人形使った怪しげなものってのは、黒魔術しかねえ。針でぷすぷす人形刺して…ああ日本版が"呪いのわら人形"か。でもワラではない感じだったよな」
大体俺は"知識"専門じゃねえし、これ以上のことは判らねえ。
「黒魔術…確か――
イチルに付き纏っていた噂は、"黒魔術"だったな」
そうだったっけ?
「だったらこれは、皇城側の攻撃というより…黄幡会側の攻撃ということなのか? しかし…皇城翠を捕獲しようとしたのは本当なのだとしたら。
何がどうなっている?」
桜で判らないのなら、俺も小猿もさっぱりだ。
「皇城翠が来ても、私達が来ても、或いは両方が来てもいいように…"防護"していたというのか」
「何を?」
「七瀬紫茉の家」
そう桜は断言した。
「あの家で…何を隠そうとしたんだ?」
数日前ではそんな雰囲気はなかった。
「小猿。お前、いつから家に帰ってないよ?」
「え? 横須賀で別れたっきり、俺も紫茉も戻っていない」
「朱貴は?」
「朱貴が何処にいるのか判らないんだ。何処かで監禁されているのは確かなんだけれど…。だから俺、朱貴が此処にいるんじゃないかと思って…」
そうして、ポケットからごそごそと鍵を取出したが、
「いらん」
桜がドアを蹴り飛ばせば、ドアはそのまま向こう側に押し倒れた。
「すっげえ……」
目を瞠る小猿を置いて、俺達は中に入っていく。
異常はないようだ。
そして居間に入った時。
「!!!」
居たんだ。
両手同士、両足同士に拘束具をつけられ、芋虫のように転がっている――血塗れの朱貴が。
拘束具…
その黒い枷は…
「"輝く…トラペソヘドロン"!!?」
漆黒色に真紅色が走る――
何度か目にしたことのある模様だった。

