シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「俺が知る人形使った怪しげなものってのは、黒魔術しかねえ。針でぷすぷす人形刺して…ああ日本版が"呪いのわら人形"か。でもワラではない感じだったよな」


大体俺は"知識"専門じゃねえし、これ以上のことは判らねえ。


「黒魔術…確か――

イチルに付き纏っていた噂は、"黒魔術"だったな」


そうだったっけ?


「だったらこれは、皇城側の攻撃というより…黄幡会側の攻撃ということなのか? しかし…皇城翠を捕獲しようとしたのは本当なのだとしたら。

何がどうなっている?」


桜で判らないのなら、俺も小猿もさっぱりだ。


「皇城翠が来ても、私達が来ても、或いは両方が来てもいいように…"防護"していたというのか」


「何を?」


「七瀬紫茉の家」


そう桜は断言した。



「あの家で…何を隠そうとしたんだ?」


数日前ではそんな雰囲気はなかった。


「小猿。お前、いつから家に帰ってないよ?」

「え? 横須賀で別れたっきり、俺も紫茉も戻っていない」

「朱貴は?」

「朱貴が何処にいるのか判らないんだ。何処かで監禁されているのは確かなんだけれど…。だから俺、朱貴が此処にいるんじゃないかと思って…」


そうして、ポケットからごそごそと鍵を取出したが、


「いらん」


桜がドアを蹴り飛ばせば、ドアはそのまま向こう側に押し倒れた。



「すっげえ……」



目を瞠る小猿を置いて、俺達は中に入っていく。


異常はないようだ。


そして居間に入った時。



「!!!」


居たんだ。



両手同士、両足同士に拘束具をつけられ、芋虫のように転がっている――血塗れの朱貴が。



拘束具…

その黒い枷は…


「"輝く…トラペソヘドロン"!!?」


漆黒色に真紅色が走る――

何度か目にしたことのある模様だった。