シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 


その時――

目の前に、黒い影が…赤銅色の瞳を覆い隠した。


「人間が――

誰かを許す権利がないのだとしたら――」


それは桜。


「お前が煌を裁く権利もない」


小さい小さい…


「愛する心は…

お前にとやかく言われるものではない」


だけど大きい桜。


桜は――

顔だけこちらを振り向けた。


「煌、揺れるな。この話は…"終わった"話。"今更"の話」


"揺れるな"。


桜に言われてたじゃないか。


ああ、だから事前に桜は云い難い話をして、俺を揺らがないように予防線を張ってくれていたのに。


桜の危惧した通り…

俺の精神は脆弱過ぎる。


それでも――

これですんだのは、桜のおかげだ。


揺らがない、桜のおかげなんだ。


「へえ? 如月くんを庇うんだ。いいねえ、そういう仲間"ごっこ"。忘れちゃったの? 君が僕にこてんぱにやられたこと」



「私は――

お前になどはやられていない」



それは毅然とした口調で。



「自分のことを"僕"と呼ぶ男に、

煌を"如月くん"と呼ぶ男に――


私はやられた覚えはない」


え?


確かに――

周涅は今まで自分のことを"周涅ちゃん"

俺のことは犬扱いしていて。


「弁に熱が入りすぎて、ボロを出したな」


周涅じゃないのか?


「皇城翠!!! どうだ!!?」


まるで示し合わせていたかのように、

桜の怒声に呼応したのは小猿で。


「うん!!! 大嫌いな"空気"が違う!!!

こいつは周涅じゃない!!!」