「そんなわけない!!! 俺が朱貴を見間違えるものか!!!」
自信に充ち満ちている割には、こそこそと懐から例の鏡を取出して。
「ちゃんと朱貴が映ってるし!!! 流石だ俺!!! ……ほっ」
最後に安堵の声を漏らしていたのは聞かないフリをしていてやろう。
だけど――
嫌な予感がするんだ。
胸の中が…何かもやもやして。
近しい感覚と言えば…拒絶感。
俺は、この白い世界を拒絶している。
S.S.Aで同じ光景は見たけれど…
何だかこれは違う気がしたんだ。
むしろ、同じ白い世界を見ていたが為に、
同じものだと勘違いしそうになるけれど、
だけど、俺の本能が言っている。
これは――虚構だと。
「…小猿、こっちへ来い」
気づけば俺はそう言っていた。
小猿は部屋のど真ん中で立ち止まっている。
「は!!? 俺は朱貴を…」
「それは朱貴じゃねえ!!!」
「鏡に映っていたから、朱貴だよ!!」
「何でお前…自分自身でそれは朱貴だと断言出来なかった? どうして鏡を取出した!!? お前の心は…朱貴じゃないと疑ってたんだろ!!?」
小猿が言葉を詰まらし、そして俺達に鏡を見せた。
「だけどこの鏡は特殊仕様だから……」
それは過去、何度も俺達は目にしたけれど。
その鏡自体に違和感を感じるのは俺だけか?
何かが…今までと違うように思えたんだ。

