「何だよ、今度は何処からだよ!!!?
何で…俺だけ!!!? 何で俺だけこの音聞こえるんだよッッッ!!!
桜、あっちに何あるよ、あっちッッッ!!!」
煌が向いて叫んでいるのは――
赤坂方面?
「うぎゃああああ!!! 頭が変に「うるせえ、うるせえ、うるせえ!!!」
被せるように聞こえてきた声。
「突然電気消えるわ電車は止まるわ、何だって言うんだよ。更に、この甲高い音…なんだよッッ!!!」
キーキーキーキー。
この声!!
「声が出る《妖魔》か!!?
俺随分走ってきたのに、何で消えないんだよ!!!」
皇城翠だ。
何処だ、何処にいる!!?
この場面で動けるのは私だけ。
「「のおおおおおおお!!!」」
畜生コンビが同時に変な声を上げた。
――居た!!!!
視界の中で、蹲る小さい物体を見つけた私は駆け寄った。
間違いない。
「おい大丈「違うことを考えよう。そうだ!!!」
「なあ大丈夫「は・や・…まおおおおお!!!」
「皇城あ「負けないぞ、愛の力は勝…ぐううううう!!!」
私の声が届かない。
仕方が無い。
私は深呼吸をして――
バチーーーーン!!!
頬に平手打ち。
驚いたような藍鉄色の瞳がこちらに向くと同時、
「はぁっはぁっ…」
また始まった、発情期。
私だと認識して貰えれば、言葉など特に必要ない。
手は耳に押さえたままだから、私は足を掴んでずるずる引き摺った。

