シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


公共の場を用い、全国規模にて…

自分には恋人がいるのだと宣言された。


そしてその恋人と結婚目前であり、

他が入る余地は何もないと…

そうはっきりと宣言されている。


証言者は…

不特定多数の視聴者だ。


マスコミだって、紫堂財閥の未来を担う次期当主の宣言に…真偽を問い質しに集まるだろう。


それだけ、玲様の声は真剣みがあった。


声を聞くだけでも、付き合いが長い私には判る。


玲様は本気の想いを口にしている。


逆に言えば、本音を見せねばならない状況だったと言うことだ。


そして玲様は、ご自分の想いを貫く為に…かなりのリスクを負ったことになる。


皇城側がこの映像を見たら――

何らかの…紫堂に対する反応を返すだろう。


婚姻話を白紙に戻すか。


或いは――


抗議を申し立てて圧力をかけ…強行的に進めさせるか。


もし皇城側が、玲様が誰を隣に置いたどんな状況であれ、あくまで"次期当主"としての婚姻話を続行させる気であるのなら。


紫堂財閥の最高責任者である当主が、"次期当主"たる玲様にもたらすのは…庇護ではなく、剥奪。


それは芹霞さんと培ってきた"自由"か、

"次期当主"という肩書きか。