しかし…現実は、画面はそのままで。
「桜、早く…画面を破壊しろってッッ!!!」
「やっているッッ!!!
が、顕現出来ないんだッッッ!!!」
「はああああ!!!?
顕現出来ねえって…どういう意味だ!!?」
「私の黒曜石が裂岩糸にならないッッ!!!
まるで…"約束の地(カナン)"の時みたいに!!!」
「今の今まで、顕現してただろうがッッ!!!」
「じゃあお前が顕現してみろ!!!」
煌は…辛そうな顔のまま、耳からピアスを外した。
手の平に乗る…煌の太陽石。
それは――
「!!!!!?
本当だ、偃月刀にならねえ!!!」
どういうことだ!!?
何で顕現出来ない!!?
そして――
膨れあがる瘴気。
これは…
これは、芹霞さんを繰り返し映し出すあの画面からか!!!?
瘴気と音。
それは関係があるのか!!!?
「がああああああ!!!」
煌は耳に手をあてながら、苦しそうに吼えた。
「桜、此処から一旦離れる!!!
音が…音が凄くて、吐き気がしてきて駄目だ!!!!」
音。
私には聞き取れない音。
それは…何を意味しているものだ!!?
煌の聴力が優れているというだけのものか!!?
「桜、行くぞッッ!!!」
私達は――
何度も何度も流れる芹霞さんのVTRを背に、
そこから出来るだけ遠くに走った。

