「何だよ、この…脳天に貫くような甲高い音。小猿の声とはまた違った…うわああああ、脳味噌が掻き混ぜられる!!!」
音?
「お前平気なのか!!?
何だ、何処から…画面か?
ああ、あのテレビ画面からだ!!!」
テレビから?
画面から…玲様の声が響いた。
『ええ、愛してます
僕には…彼女しか考えられません』
『もう…他の誰も愛せません。
僕の妻は、彼女しか考えられません』
そしてドレスの宣伝のような見知らぬ男の声が響いた。
「ぬおおおお!!!
駄目だ、桜華での"ぴぎゃあああああ"並だ!!!
桜、きっとこれはエイリ「煌…瘴気が!!!」
膨れあがる…瘴気の気配。
何処からだ!!?
また姿なき自警団!!?
黄色い蝶!!?
その他か!!!?
「桜…音に、力が奪われる…。
頼む、あれ…壊してくれ!!!
頭が…痛くなって息が…!!!」
そんなに!!?
私は飛び上がり…
裂岩糸をテレビ画面に投げつけ、一度に破壊すれば…硝子の欠片が哀しげな音を立てて細やかに舞い散り、街路灯の明りにきらきらと乱反射した。
それは幻想的な一幕…
――の、はずだった。

