「消える前に…欲しい。桜欲しいッッ!!」
「この携帯はてめえのものじゃないッッ!!! 爆発させるてめえには、触れさせねえッッ!!!」
「携帯って…写真を印刷出来るんだろ!!? それでいいから、紙で我慢するからッッ!!! 元データはお前にやるからッッ!!」
「肖像権があるのは芹霞さんだろッッ!!! てめえには権限がないだろうがッッ!!!」
「権限がなくても…あああ!!! 消える。芹霞が消えちまうッッ!! その前に永久保存したい、桜ッッッ!!」
うるうる、うるうる。
「お前だって…
待受けに出来るんだぞ!!!」
待受け…。
あの綺麗な芹霞さんを…待受け…。
「お前はお前で加工すればいいじゃないか!!!」
加工…。
そんな面倒なことしなくてもいい。
邪魔な煌など映さねばいい。
そしてもし櫂様玲様にばれたら、
全て煌のせいにしてしまえばいい。
一枚くらい…。
私は携帯を取出し、仕事でしか使ったことのないカメラを起ち上げる。
何も知らず、暢気にポーズをとる煌は完全無視して、私は画面の芹霞さんだけに照準を合わせて…
しかし――
ぼんっ!!
「「!!!?」」
流石に煌だけではなく、私も驚いた。
私が撮影実行ボタンを押した瞬間――
「何で…携帯が!!!?」
携帯電話が爆発してしまったんだ。
火花を散らして、木っ端微塵。
「俺触ってねえのに、携帯が爆発す…何だ、この音!!!?」
途端、煌が両耳を両手で押さえて顔を顰めた。

