「黄幡会か…」
クマ男はやけに楽しそうに顎髭を触っている。
「あそこの特色、お前さん達知っているか?」
「特色? "エディター"とか"ディレクター"とか、やけにカタカナが長い?」
あたしがそう言うと、クマ男はがはははと豪快に笑った。
「それは組織だろうが。俺が言ってるのは、教義の方。
あそこの教義は…"マスター"が声だけで教徒を救う」
「声だけで?」
玲くんが目を細めた。
「そ。"マスター"は前カリスマ教祖の生まれ変わりだということで、その声だけで既にカリスマなのさ」
「生まれ変わりということは…死んじゃってるの、一縷?」
一縷に関しては、結局よく判らない。
生きているのか、死んでいるのか。
イチルなのか、否か。

