「"境界領域下刺激(サブリミナル)"とはね、人間の表層…"意識"より下の部分、潜在意識や、意識と潜在意識の境界領域と呼ばれる部分に刺激を与えることによって、その人間の意識ないままに操れる効果を持つものだよ。

つまり本人は見たり聞いたり"意識"することなく、"境界領域下刺激(サブリミナル)"の作為者の意のままに操られていることになる」


「催眠術みたいなもの?」

「そうだね。だけど催眠術は、術者が対象者にきちんと術を施さないといけないけれど、"境界領域下刺激(サブリミナル)"においては、それを受け取る側に"五感"がある限り、不特定多数を操れる。ある意味…集団催眠術、とでも言えるのかな」


恐るべし、Zodiac。

"境界領域下刺激(サブリミナル)"なんてして、何をやらかそうとしてるんだろう。


「で、"境界領域下刺激(サブリミナル)"の言葉は…解読出来たのか?」


クマ男は頷いた。



そして――


「"願い求めよ。

さすれば我は汝等に与えん。


さあ……求めよ。

汝の願いは如何に?"」


そう言ったんだ。


その言葉には記憶がある。


あたしは玲くんと顔を見合わせた。



「黄幡会…!!!?」



確か…煌と忍び込んだとき、そんな声に向かって皆が拝んでいたはずだ。