「はあ!!? 何故黙秘の必要があるんだよ。蓮、紛らわしい言い方をするなよ!!!」
「きゃはははははは!!!
"すーはーすーはー"」
「ほら、旭までそう言ってるじゃないか、この変態」
「な!!! 変態…って…旭は、ただお前の真似をしただけだろう!!?」
「"すーはーすーはー"」
「"すーはーすーはー"」
「"すーはーすーはー"」
「"すーはーすーはー"」
「蓮!!! 止めろ、喧(やかま)しいその2人を止めろ!!!」
「"すーはーすーはー"」
「"すーはーすーはー"」
……煩(うるさ)い。
「"すーはーすーはー"」
「"すーはーすーはー"」
「蓮!!!!」
煩いのは、お前だ。
「め、めめめ、目覚めた!!?
紫堂、君の大嫌いなあいつが判るか!!!?」
頭にくるような…妖麗に整いすぎた顔立ち。
絶妙すぎる顔の輪郭は…以前のような"虚無"を逸脱し、生気に満ちていて。
それが更に、苛立たせるにいいだけの美貌を魅せつける。
老舗の名家、各務家の現当主――
各務(かがみ)久遠。
最悪だ。
目覚め早々…
俺の天敵とも言えるこの顔をみるなんて。

