シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
「いいか、取り急ぎ…玲様の結婚話を何とかしなければならない。

あの時、玲様に言った言葉に――

…偽りはないな?」


――そんなお前を、どうして俺達に守らせね?


俺はしっかりと頷いた。


「玲を助けたい」



「そうか…」


桜が…微笑んだ気がした。


無表情の桜のその顔は、


「何だ、その腑抜けた面は」


一瞬で終わってしまったけれど。


だけど。


やっぱ桜はいい奴だって思う。


頭がちがちで融通がきかねえ…昔気質の奴だけれど、心は熱いものがある。


それはきっと本人は認めようとしないけれど…。



桜は――

ちゃんと感情がある。



人間らしさがある。

温かさがある。



判り難いだけだ。



口は悪いけれど…嘘はつかねえ。



だから――信用出来る。



その桜でさえ、俺がしでかしたことを知っていて言わなかったのは、

必要ないと思っていたことなんだろう。


やはり俺は…

贖罪に心が揺れて仕方がねえけれど。


だけど――

気負っていたものが、少し…楽になった。


本当は許されねえことかもしれねえけど、

俺が皆の元で生きるには…必要なことかも知れねえな。


俺の…確りとした心が、玲を助ける要素となる。


何より相手が…周涅の可能性があるならば。


俺はゆらゆらしていてはならねえ。


もやもやしたまま突っ込めば、

足元掬われて終わりだ。


判ったよ、桜。


俺は――

精一杯、玲助けるよ。