「いいか、取り急ぎ…玲様の結婚話を何とかしなければならない。
あの時、玲様に言った言葉に――
…偽りはないな?」
――そんなお前を、どうして俺達に守らせね?
俺はしっかりと頷いた。
「玲を助けたい」
「そうか…」
桜が…微笑んだ気がした。
無表情の桜のその顔は、
「何だ、その腑抜けた面は」
一瞬で終わってしまったけれど。
だけど。
やっぱ桜はいい奴だって思う。
頭がちがちで融通がきかねえ…昔気質の奴だけれど、心は熱いものがある。
それはきっと本人は認めようとしないけれど…。
桜は――
ちゃんと感情がある。
人間らしさがある。
温かさがある。
判り難いだけだ。
口は悪いけれど…嘘はつかねえ。
だから――信用出来る。
その桜でさえ、俺がしでかしたことを知っていて言わなかったのは、
必要ないと思っていたことなんだろう。
やはり俺は…
贖罪に心が揺れて仕方がねえけれど。
だけど――
気負っていたものが、少し…楽になった。
本当は許されねえことかもしれねえけど、
俺が皆の元で生きるには…必要なことかも知れねえな。
俺の…確りとした心が、玲を助ける要素となる。
何より相手が…周涅の可能性があるならば。
俺はゆらゆらしていてはならねえ。
もやもやしたまま突っ込めば、
足元掬われて終わりだ。
判ったよ、桜。
俺は――
精一杯、玲助けるよ。

