「お前が芹霞さんを想い続けようと…
足掻いて藻掻いて櫂様に立ち向かうおうと…
如何に無謀なことを企てようと…
私はどうでもいい」
そして桜は鼻でせせら笑った。
「芹霞さんと櫂様が惹かれ合っているのは、
お前だって判りきっていただろうが。
それを承知で横恋慕したのだろう?
私は何度も忠言したというのに、
無視したのはお前だ。
…何をじたばた、見苦しい。
それこそ――…
"今更"、だ」
何だか…泣けてくる。
「お前みたいな自由奔放な駄犬が、贖罪だ何だと…人並に"我慢"出来ると思っていると思える方が、馬鹿馬鹿しい。
畜生に"我慢"など出来るはずないだろう。
諦められないのなら、進むしかないだろう。
お前のウリは、忠言すら聞こうとしない…意固地なまでの"しぶとさ"だろうが。
それなのに何を女々しくぐだぐだ、ぐだぐだ…
私にお前の自分勝手な気持ちの整理を押し付けられても、甚だ迷惑なだけだ。
"今更"、怒る気にもなれやしない」
なあ…桜。
お前いつも口は悪いけれど、
"頑張れ"
"諦めるな"
何だかそう言われている気が…
「言っておくが。
お前の応援などしてない!!」
少しくらい…
思わせてくれよ、桜…。
余韻くれよ…。

