何だよ、これは!!!
何の悪夢だよ、これは!!
そうとしか思えねえ、俺。
「俺から諦めるって言い出したことなのに。
非道なことをしてきた俺が、それでもこの心だけは失いたくねえんだよッ!!」
嫌だ。
嫌だ。
俺は…嫌だッッ!!!
芹霞が欲しい。
誰にも渡したくねえ!!
「認めたくねえ。絶対認めねえ!!
芹霞が櫂を選んでも…玲を選んでも。
例えこの先、何年何十年経とうとも――
俺は…この想いを消し去れねえよッッ!!!」
言葉にすればするだけ、益々想いは強くなって。
ああ、桜に想いを告げてもどうにもならねえのに…
だけど桜には判って貰いたかった。
不幸自慢をしたいわけではねえ。
だけど…
桜には、俺の心を見て貰いたかった。
桜は…
俺が想いに気づいた時から、ずっとずっと…見られていたから。
もう…桜には隠す必要など何もなかったから。
「何で――
何で俺ばっかりッッッ!!!」
それは…心の慟哭。
醜い醜い、俺の心。
正直な…剥き出しの心。
判ってる。
俺が最低なのは。
だから――
桜に叱りつけられて怒鳴り散らして貰えれば…
そして罵倒して叩きのめして貰えれば…
幾らか荒んだこの心は落ち着き…この痛みから解放されるだろうか。
祈りにも似たように、桜に救済を求めていたのは事実。
もう…俺の手に負えないほど、
傷ついた心の中で…想いばかりが膨れあがっていて。
苦しくて堪らなかった。
思えば、俺は桜に甘えすぎていて。
「本気で贖罪する気があるのなら――
生涯苦しみ続ければいいだろう」
桜の口から漏れたその言葉に、
俺は一瞬呼吸を失った。

