「久遠様が、お前の為に色々試した草や広げられた本はあらゆる部屋に散乱しているし、久遠様の命で旭が色々怪しげなものも煮込んで"しちゅ~"にしてる。何よりあの草は、残留性が高い異臭を放つから…」


「蓮。"怪しげなもの"って何さ?」


遠坂が遮るようにして、蓮に訊いた。


俺も…気になったんだ。

あの"しちゅ~"には、怪しげな草以外に、怪しげな"何か"が入っていたのか?


それは…何だ?


「ボクがお手伝いする以前に、何煮込んでたのさ、旭。牛乳と野菜入れる前に、何か入れてぐつぐつ煮込んでたろ」


煮込む。


此程嫌な響きがする動詞もないだろう。


「んーと「旭。久遠様に口止めされているな?」

「んーと「旭。ボク達友達だよな?」


狭間に立たせられた旭は暫し悩み、


「蓮。3つだけ、由香ちゃんにお話しするのはだめ?」


「……」


「んーと、変なものは言わないから!! 蓮!! これと…これと…これならいい?」


旭、"変なもの"って何だ?


旭はこそこそと蓮に囁くと、蓮は溜息を零しながら頷いた。


「それくらいなら差し障りはないだろう。旭、ではその3つだけだぞ。ああ、由香にだけだぞ?」


ちらり。


蓮は意味ありげに俺を見て。


「由香ちゃんだけ。由香ちゃん、内緒ね?」


ちらり。


旭まで意味ありげに俺を見ながら、遠坂を手招きし…背伸びしながら耳打ちしてる。


「んーと………の手でしょ、……犬の……それから…の骨と…」