「画面を分割表示させるよッッ!!!」
叫んだ遠坂がキーボードを叩き出す。
カタカタカタ…。
大画面が16分割となり、あらゆる角度で映し出される。
奥の間と蓮が呼んだその部屋は、隠れるスペースなど何も無い。
言うなれば――
廊下と繋ぐドアと窓しかない…四角い箱のような檻。
少し画面から目を離した隙に…
久涅は一体何処へ行った!!?
ドアが…薄く開いていた。
それは――
部屋から出て行ったことを意味している。
遠坂が慌てて他の場所の監視モニターをONにして、16分割画面に映し出したが…そこは無人。
久涅の姿はない。
久涅は、何処にいる?
「不味いぞ…」
蓮が俺を見て呟いた。
「紫堂櫂。お前の痕跡は…此処と、あの寝所に使っている客室…今の処それだけか?」
俺は頷くと、更に顔を歪ませた蓮が訊いてくる。
「久涅は、薬草学など…魔術系に詳しいか?」
どうだろう。
俺は首を傾げた。

