シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
「うし、偉いぞ君達ッッ!!

2倍の速度処か、3倍じゃないか!!!

チビッコだってやる時はやるんだッッ!!」


「やるやる~、きゃはははは~」


遠坂の声に、元気に明るく同調したのは旭で。


「やるやる、だけどだるだる~。

三重苦は…阻止された~」


げそっと机に突っ伏したのは司狼。

数秒後に寝息が聞こえてくる。


どこまで…精神力と体力を使ったんだ、たかがスキャナ如きに。

ただ、読み込ませばいいだけの簡単なモノなのに。


「じゃあ今から蓄積されたデータに翻訳プログラム走らせるぞ?

解読語はラテン語。そこからは、紫堂訳してくれよ?」


遠坂が大画面に向き直るのと、画面を見上げた蓮が声を上げるのが、ほぼ同時期だった。


「由香…プログラムは後回しだ!!

久涅の監視モニターの角度を変えて映し出せッッ!!」


蓮の声に誘われるように、俺も慌てて大画面を見た。



居ない。



「え!!!?」



遠坂がキーボードを叩いて、カメラの角度を変えてみせるが…


何処にも居ない。



「久涅は――

何処へ行った!!!?」



久涅が…映っていない。


まだ珈琲が残っているカップを残して、

俺と酷似した男は消えていた。