「ティアラ姫じゃなくて!!! 芹霞、勝手にふらふら行かない!! ティアラ姫から離れて、普通の感覚に戻ろうよ。
どうして君はあれが好きなの? 僕だって君の意見は尊重したいけど、あれは…凄すぎる。もうちょっと、もうちょっとね…?」
何だか玲くん涙目で。
「玲くん…嫌いなの?
そんなに…嫌い?」
つられてあたしも涙で瞳を潤ませ、上方の鳶色の瞳を見遣れば、
「………」
何だか玲くんは少し赤い顔をして俯いてしまって。
「玲くん?」
更に、身を屈めて真下から顔を覗き込めば、
「僕が好きなのは…君だけだよ?」
それはそれは極上スマイルで反撃され、動きを固めたあたし。
「よし、今の内に芹霞を運ぼう」
玲くんに抱きかかえられるようにして、エスカレーターに運ばれた。
まるであたしは固まったマネキン人形。
遠ざかるティアラ姫に、悲嘆の涙を流した。
ティアラ姫…
また会おうね?
今度会う時まで、3割引の素敵な貴方でいてね?
そして連れて行かれたのは、可愛い洋服が売っているブティック。
有名なお店なのか、多くの女の子達が服を見ていた。
どれもこれも可愛いものばかり。
誰も彼もが、それに似合いそうな女の子ばかり。
その中に飛び込んだ玲くん。
麗しい王子様の格好はさることながら、玲くんは紫堂財閥の次期当主として有名人になっているらしい。
キャー。
悲鳴のような黄色い声が飛ぶ。

