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僕は――

ハンドルに突っ伏した。



隣では芹霞が眠っている。



「どうしよう…」


僕のタイムリミットは近づいてきている。



"お試し"の時間も。

芹霞の…"心"の蘇生も。



元々、車に入った時から芹霞の様子がおかしかったんだ。


僕に何かいいたげに見つめていて。


それは愛の言葉なんかじゃないものは判った。


折角芹霞と仲直りできて、これから頑張ろうとしていた矢先、それは不可解すぎるもので。


車の中に1人残していたことに怒ってるの?

煌と桜と勝手に別れたから怒ってる?


色々思い浮かんで、溜まらなく焦る。


それとも僕の態度が悪かったんだろうか。

"紙袋"、遮ったのが気に障っていたんだろうか。


判らないけれど、とにかく優しく笑顔でいるようにした。


そして、突然向けられた"結婚"の話題。


気づかれているのか?


どきりとする胸押さえて、僕は笑っていた。


気づかれているのか、思いつきか…そこら辺は微妙だった。

にこやかな笑顔で聞いてきたから。


芹霞のいない未来なんて語りたくない。

だけど芹霞のいる未来なら。


ああ、なんて幸せだろうね。


ねえ…もし君に僕の結婚を言ったら。

君はどう反応するの?


結婚しないでって言ってくれる?

離れたくないって叫んでくれる?


それとも…


今みたいな笑顔で、祝福されてしまうのかな。


違うね。


きっと…優しい君なら僕を慰めてくれるんだろう。

他人事のように、同情されて…。


同情だけは、されたくないんだ。


僕が芹霞が好きなのは、結婚とは関係がないから。