シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

――――――――――――――――――――――――――――……


画面には、ふんぞり返って椅子に座る2人の男。


やる気のない頽廃的な面持ちの各務家当主と、下卑た笑いを浮かべた最悪の…俺と同じ顔を持つ…"元"紫堂次期当主。


威圧的な態度は2人は変わらないけれど、あの久涅を相手に、まるで表情を変えずに自然体でいられる久遠は…本当にすごい男か、ただの愚かな男なのか。


『用は何?』

『随分と"約束の地(カナン)"は繁盛しているようだ』


足を大きく組み、どちらが客か判らぬ態度。

俺だって、あそこまで態度は酷くない。


『おかげさまで。何処かのお節介が頑張ってくれたようで』

『そのお節介は元気か?』


どくん。


やはり、感づかれていたか!!?

単刀直入か!!!


『例えこの土地が死者の土地であっても、死んだ人間の還る場所ではない。死者の意見を聞きたいというのなら、恐山のイタコにでも聞けば?』

『ははははは』


久涅が笑う。


『大したタマだな、死者返しも出来る…稀有の言霊使い、各務久遠。眉くらい動かすと思っていたが』

『何でだ? オレはあいつが嫌いなんだ。ご大層な異名をひけらかし、礼儀1つなっちゃいないただ泣き喚くだけの子供に、何でオレが慈悲を?

悪いが、オレにとってあいつは…一番この世から消えて欲しい、大嫌いすぎるな忌まわしい男だ。折角今、あいつがいなくなってせいせいして気分がいいのに、そのあいつと同じ顔のお前が何で来る? オレを疑うのなら、今までオレがどんな風にあいつに接していたか、蓮にでも聞けよ』


演技とも思えないのは…本音故か?

声も顔も…至極真剣。

随分だな、久遠。


『…ふ。毛嫌いしているっていうのは本当か。邪推した』


引いたのか?