「あ?」
こいつ――
何て言った?
「ねえねえ、『気高き獅子』ってどんな人? 同じ歳なんだって? あんた今まで全然仕事の話してくれなかったから…全然あたし判らない」
「芹霞!!!? 櫂…だぞ?」
俺の声が震えた。
「ん?」
「"ん?"じゃねえよ!!! 櫂だぞ、櫂!!! お前のよく見知った…「煌ッッ!!!」
怒鳴ったのは玲。
「芹霞は…櫂の記憶がない」
それは…震えたような声で。
芹霞に聞こえない程、小さな声で。
俺は…眉間に皺を寄せるしか出来なかった。
まるで…こそこそと隠そうとする、らしくない玲に。
ああ、それよりも――
櫂。
「何で…だよ。何でよりによって櫂を…」
櫂は…どうしたんだ?
どうなったんだ?
――死んじゃったんだって?
何で…玲が次期当主になってるんだ?
まさか。
おい、櫂の切り札…まさか失敗に!!!?
桜が低い声で言った。
「煌、その件は後で教えてやる」
きょとんとした芹霞の横、俯き加減の玲の陰鬱な表情に…俺はごくんと唾を飲み込んだ。
何だよ、どうしたよ、玲。
何でそんな…罪悪感に満ちた顔をしてるんだよ!!?
お前が…"お試し"を決行するのと関係があるのか!!?
そんな時。
「「「!!!?」」」
瘴気が異常な早さで膨らんだんだ。
かつて無いほどに。

