「5日間も何で帰ってこなかったのよッッ!!! 放蕩家出犬ッッッ!!! 神崎家の家が無くなるこの一大事、あんた今まで何処にいたッッ!!!? ――まさか、いつもの如く香水女のトコとか!!!?」


そして顔を少し近づけて匂いを嗅いでいたみたいだけれど、香水の匂いはしなかったようだ。

何だか…煌の浮気が疑われた…修羅場に居合わせている感じがする。


バシバシバシバシ…。


止まらない。


バシバシバシバシ…。


芹霞の平手は止まらない。



「聞こえてるの、このウルトラ駄犬ッッ!!! あんたの帰るべき場所は、此処じゃない、あたし達の処だって、何度言わせば気がすむのよッッッ!!!

いい加減、学習しろッッ!!! この頭ガチガチワンコッッッ!!!

おかげであたしの頭、たんこぶになっちゃうじゃないのッッッ!!!」



バシバシバシバシ…。



ああ、芹霞。

まるで手加減してないね…。


僕や桜の拷問の方が、可愛かったんじゃないかな。


君もあれだけ派手に頭ぶつけておいて、たんこぶですむなんて…凄いね。

薬…で、頭蓋も強化できるのかな。



「あんたね、やっていいことと悪いことがあるでしょうがッッッ!!!

何より可愛い桜ちゃんと優しい玲くんに刃物突きつけるなんて、何ていう態度よッッッ!!!

黙ってないで何とか言いなさいよッッッ!!!」



バシバシバシバシ…。



ああ、芹霞。

それじゃあ煌、何も喋れないよ?


此処まで叩けるのは…

どちらの薬の効能なんだろうね…。



「れ、れれれ玲様。やはり…止めた方が…」



バシバシバシバシ…。



「まあ…煌は普通の肉体の持ち主じゃないし。何より、桜にも芹霞にも危険な目に合わせたのだというならば、もう少しぐらい…」



バシバシバシバシ…。