「~~ッッッ!!!!」
態勢を崩して屈みこみ、真向かいで頭を抱えて唸っているのは、芹霞と煌。
凄い――音だった。
脳震盪…起こしてないだろうか。
「せ、芹霞…だ、大丈夫?」
どもりながら芹霞に手を差し伸べたけれど、涙目の芹霞の怒りはまだ収まっていないらしく、僕の伸した手を払って、
「正気に――
返りなさいよッッッ!!!」
今度は煌に馬乗りになって襲い掛かり、
バシバシとその頬の両側を…平手打ちを始めたんだ。
凄い、勢いで。
本当に、容赦なく。
バシバシバシバシ…。
「れ、れれ玲様…ど、どうしましょう。
とと、とと止めた方が……?」
珍しい。
いつも冷静な桜が、酷く動揺して噛んでいる。
バシバシバシバシ…。
僕は…"約束の地(カナン)"でのことを思い出した。
記憶を失った芹霞を肩に担ぎ上げ、尻叩きをした煌。
普通…それで記憶など蘇らないとは思うけれど。
それでも芹霞の記憶は蘇った。
本能的な解決法が、あの2人の間にはあるのだろう。
それに関して、僕達外野の常識なんて通用しない。
何よりあの2人を育て上げたのは…
全てにおいて常識外な緋狭さんなのだし。

