シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 


「~~ッッッ!!!!」



態勢を崩して屈みこみ、真向かいで頭を抱えて唸っているのは、芹霞と煌。


凄い――音だった。

脳震盪…起こしてないだろうか。



「せ、芹霞…だ、大丈夫?」



どもりながら芹霞に手を差し伸べたけれど、涙目の芹霞の怒りはまだ収まっていないらしく、僕の伸した手を払って、



「正気に――

返りなさいよッッッ!!!」



今度は煌に馬乗りになって襲い掛かり、

バシバシとその頬の両側を…平手打ちを始めたんだ。


凄い、勢いで。

本当に、容赦なく。



バシバシバシバシ…。




「れ、れれ玲様…ど、どうしましょう。

とと、とと止めた方が……?」



珍しい。

いつも冷静な桜が、酷く動揺して噛んでいる。



バシバシバシバシ…。



僕は…"約束の地(カナン)"でのことを思い出した。


記憶を失った芹霞を肩に担ぎ上げ、尻叩きをした煌。

普通…それで記憶など蘇らないとは思うけれど。


それでも芹霞の記憶は蘇った。


本能的な解決法が、あの2人の間にはあるのだろう。

それに関して、僕達外野の常識なんて通用しない。


何よりあの2人を育て上げたのは…

全てにおいて常識外な緋狭さんなのだし。