「違う、ねえ違うんだよ、芹霞。
誤解、誤解だってばッッッ!!!」
何か…
既視感(デジャブ)を感じるのは気のせいか。
芹霞は僕をぼんと両手で突き飛ばして、
「桜ちゃああああんッッッ!!!
どうしよう、どうすればいいかなああ!!!?」
今度は桜に抱きついていて。
桜は…石のように固まっている。
「………」
判っているよ。
相手は桜だって。
「………」
うん、僕だってそれくらい、判ってはいる。
だけどね――
「す、すみません、玲様!!!!」
僕の無言の視線に気づいた桜が、青ざめた顔をして、両手で僕に芹霞を返してくれた。
「ん、ありがとう」
そう微笑むと、
「い、いえ…」
何とも複雑そうに桜は答えた。
僕は深呼吸をしてから、芹霞ににっこりと笑いかけた。
そして手を差し出す。
「???」
嗚咽繰り返す芹霞が、変な顔をした。
「仲直り、しよ?」
すると芹霞の顔が、ぱあっと明るく輝いて、
「うんうんうんうんッッッ!!!」
僕の片手を、両手で握ってきた。

