シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


僕から離れようとしない黒い瞳。


先刻まで…弾いてばかりいたのは、同じ瞳だった。


「……。ええと…」


情けない。

頭が混乱して、言葉が出てこない。



「芹霞…僕を…許してくれるの?」



それが現実に起っていると…

そう思ってもいいの?


恐る恐る…僕は、芹霞の背中に手を回してみた。


僕の手首のバングルが、声と共に震えた気がした。



「許すも何も。それはあたしの台詞だよ。


玲くん、玲くんの事情も聞かずに、一方的に言い捨てて逃げてばかりいた…自分勝手なあたしを許してくれる?」



潤んだ黒い瞳が、下から僕を見上げてくる。



うるうるうる…。



こんな場面だというのに僕は――


「……~~」


熱い顔を隠すようにして俯いてしまった。


一体…


何を考えているんだ、僕は。


落ち着け、落ち着け、僕の心臓。

何で…身体まで火照ってくるんだよ!!!



「玲くんが…


許してくれないッッッッ!!!!


うわああああんッッッッ!!!」


また芹霞が派手に泣き出した。