シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「え? えええ!!?

な、何で芹霞、ねえ…ちょっと…」



僕は心ならずも狼狽えた。


何で、何で芹霞が…泣くの?

何で謝るの?


謝るのは僕の方。


芹霞の心を傷つけてごめんなさい。

勝手に嫉妬してごめんなさい。


そして。


僕にプレゼントありがとう。

僕を信じてくれてありがとう。


ああ、まだまだ言いたいことは沢山在るというのに。


何からどう言えばいいのか判らなくなってしまった。


完全に出足を狂わされた僕は、ただおろおろとしているばかりで。



「玲くん、玲くん、ごめんなさあああい!!!

逃げちゃってごめんなさあああい!!!

理解しないでごめんなさあああい!!!

あたし玲くん好きだから!!!

だから玲くん、あたしを嫌わないで!!!」



僕は――

首を傾げてしまった。



何だか――

僕に都合のいい夢を見ているんじゃないだろうか。


生気溢れるこの芹霞は、本物のはずだ。


本物から…僕はこんな言葉を貰えているの?


僕、芹霞を傷つけて泣かせて、笑顔を奪ったのに。


やっぱり…夢?

また僕…変なものに巻き込まれてる?


そう思って、僕は自分の頬を思い切り叩いてみた。



「玲くん!!!?」

「玲様!!?」



…痛い。


力入れすぎてしまった。



「ん……痛みはある。

ということは現実?」


まだ俄には信じがたく。


何処までも疑心暗鬼になっている僕に、芹霞は心配そうに僕を見つめてくる。


先刻まで交差しなかった視線が…重なって、益々絡みついてくるから。


濡れた黒い瞳を斜めに覗き込むと。

芹霞も一緒に顔を傾けた。


反対に顔を傾けて芹霞を見ると、

芹霞も同じ方向に顔を傾ける。