シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

「煌…。僕も緋狭さんに師事していたんだ。そして彼女にこう習った。どんな大きな武器にも、必ず人体と同じような支軸があると。武器の威力に逆らうことなく、逆にその流れに柔らかに身を任して、その支点さえずらすことが出来れば…」


僕が刃物を掴んだまま、それを持つ煌ごと横に回転させるようにして、床に叩き付ける。


「武器など何も怖くないとね。

そして尚且つ僕は……」



まだ刃物を掴むその指先から――

僕は青い光を伝わらせる。



「僕の力は、刃物から伝達させられる。

その主の身体にね」



ビリビリビリ…。



煌の身体全体が青白い光に包まれて、ビクビクと煌の身体が痙攣すると――そこから煌の一切の力が失われて、仰向けになって床に転がった。



ビリビリビリ…。



「大丈夫。命に関わるような高電圧ではないから。

とりあえず…おとなしくしろ」



僕は――

そして2人を見た。



「…あ、あっさり…」


唇を戦慄かせる桜と――


目を瞠(みは)って固まったままの芹霞。



そして不意に、芹霞の視線と僕の視線が絡んだ。



どくん。



「……僕…」


どう接していいか判らず、震えた声を出してしまった僕に――



「玲くん――


お帰りッッッッッ!!!!!」



芹霞が泣きながら駆け寄り、僕に抱きついたんだ。



「玲くん、玲くん、玲くん、玲くんッッッ!!!」


そして、



「うわああああああん!!!


ごめんなさああああい!!!!」



それは派手に泣き出した。