「煌…。僕も緋狭さんに師事していたんだ。そして彼女にこう習った。どんな大きな武器にも、必ず人体と同じような支軸があると。武器の威力に逆らうことなく、逆にその流れに柔らかに身を任して、その支点さえずらすことが出来れば…」
僕が刃物を掴んだまま、それを持つ煌ごと横に回転させるようにして、床に叩き付ける。
「武器など何も怖くないとね。
そして尚且つ僕は……」
まだ刃物を掴むその指先から――
僕は青い光を伝わらせる。
「僕の力は、刃物から伝達させられる。
その主の身体にね」
ビリビリビリ…。
煌の身体全体が青白い光に包まれて、ビクビクと煌の身体が痙攣すると――そこから煌の一切の力が失われて、仰向けになって床に転がった。
ビリビリビリ…。
「大丈夫。命に関わるような高電圧ではないから。
とりあえず…おとなしくしろ」
僕は――
そして2人を見た。
「…あ、あっさり…」
唇を戦慄かせる桜と――
目を瞠(みは)って固まったままの芹霞。
そして不意に、芹霞の視線と僕の視線が絡んだ。
どくん。
「……僕…」
どう接していいか判らず、震えた声を出してしまった僕に――
「玲くん――
お帰りッッッッッ!!!!!」
芹霞が泣きながら駆け寄り、僕に抱きついたんだ。
「玲くん、玲くん、玲くん、玲くんッッッ!!!」
そして、
「うわああああああん!!!
ごめんなさああああい!!!!」
それは派手に泣き出した。

