シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
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僕が外界に出た瞬間。


目の前では――

黄色い布を纏った橙色が、巨大な…長尺の刃物を手にして、小さな青2つに斬りかかろうとしていた。


それが煌で。

武器は…偃月刀の変化したものであると――


悟った僕の思考は、時差ボケのような…軽い体内時計の狂いから逃れ、"現実"を正しい時間進行で認識した。


あの馬鹿、何をやってるんだ!!?


芹霞を庇うように立つ桜。


空気の緊迫感から判る。


桜の武器は、煌を制する効果を出せないのか。


敏捷性を誇る桜が煌に勝れないのは…意外過ぎた。


相手が――煌だからなのか。


僕は思い出す。


制裁者(アリス)の…真紅の邪眼を持つ煌の姿を。


まだ…惑っているというのなら。

それ故、愛する女性と仲間に刃を向けるというのなら。



僕が櫂の代わりに、お前を目覚めさせてやろう。


紫堂の護衛団の…桜の上司らしく、いや…仲間として、力でねじ伏せてやる。


僕はバングルの月長石を指で触る。


よし、いけそうだ。


"まだ"完全には僕の思惑通りにはなっていないけれど。

多少なりとも…コード変換が有効であるのなら。


瘴気に包まれた空間。


此処が何処かは判らないけれど。



僕は――



「いい加減にしろッッ!!!!」



バングルの月長石から引き出した青光を、煌に放ったんだ。


咄嗟にこちらを向いた煌は、身の丈もある偃月刀を薙ぎ、僕の力を2つに叩き斬った。


非物質である力を、物質の…たかが刀如きで凌がれたのは、驚くと共に…屈辱。



だけどそれは、絶望的な諦観ではない。


「玲くんッッッ!!!!?」

「玲様!!!?」



僕は笑みを2人に向けて、そして振り翳される刃物をひらりひらりとよけ、そして…青い光に包まれた手で刃先を摘んだ。



殺気。


叩き斬ろうとする煌と、指先で押さえる僕。


不快そうに細められる真紅の瞳。


ああ、そうだろうね…


屈辱だろう、お前には。