シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



心が――震えるんだ。


感動?

安堵?


そんな生優しいものじゃない。


黄幡会で櫂の幻覚に皆が惑っていた中、芹霞は本当の櫂を見つけた。


僕は…櫂が羨ましく、そして妬んだ。


僕だったら…見つけて貰えるだろうか。


そう思った。


それは、見つけて貰えないという、諦観の裏返し。


僕は…芹霞を信じていなかったんだね…。


ありがとう、ありがとう芹霞…。


こんな僕を…信じてくれて…。


僕は…欠けたバングルに口付けた。


これならもう…

思い残すことはないよ。


例え――…

一生此処から出られなくても。


此処に取り込まれて、自我を失ってしまっても。


僕は…

いい気分で逝けそうだ…。




――諦めるな、玲。




そんな時だったんだ。


虚数が、突然その数を減じたのは。


出口が…0と1の実数に包まれている。

まるで…塞き止められていたものが溢れたかのように。


「何で突然?」


判らない。

判らないけれど。


これなら…


今なら…


僕は、外に出れる?


そんな時、僕のバングルが小刻みに震えた。

それはまるで天啓のように。


出れる。


僕はそう信じた。


諦めるな。


僕の意識が目覚める。


此処から出てやる。


会いたいんだ。


――あたしはもう…玲くんを見失わないッッ!!!


僕を信じようとしてくれる愛しい芹霞に。


芹霞に会う為に、僕は此処で消えたくない!!!



そして僕は――