それは――
虚数で構成された力。
実数で構成された僕の力とは相反する、マイナス世界の虚数の力。
"放出"の僕の力とは真逆に、"取込"という同化の力で僕という存在自体を凌駕しようとする。
まるで、自らの意思があるかのように…増殖して"生存"しようとする。
寄生でも依存でもなく…独自の世界の創出。
それはまるで――
"生ける屍"や"蛆"のような、"共食い"にも似て。
このままだと僕は、電脳世界に組み込まれ、虚数の餌食となってしまう。
それを防ぐ為に僕は、慌てて残留する0と1を拾い集めで即時コード変換をして、結界を張った。
僕を現実世界と繋ぐ、あの歪みが…なくなっていく。
僕は――
あそこからは戻れない。
途方に暮れた僕は、
その時――
何かの気配を感じたんだ。
何かが居る。
僕と同じように…外界の存在が。
3つ?
そしてそれは…
「何で…虚数を感じる?
人間…ではないのか?」
それが不思議な気はしたけれど、何より飛びついたのは、他に出口があるということで。
僕はその気配を辿って、走ったんだ。
その存在に対面することなく…そして見つけた、
――…空間の歪み。
だけど僕は、どうしてもそこから出ることが出来ない。
溢れかえる虚数の力に阻まれて。
ああ、出口はあるのに――
阻む虚数が多すぎる。
此処は…僕を守る0と1が少なすぎる!!!
だけど直感的に感じている。
もう出口は此処しかないと。
どうする?
どうすればいい?
歪みの向こう側は暗闇。
何かの照明みたいなものが動いている。
「……!!!?」
見間違い、かと思ったんだ。
その中に、橙色を見つけるなんて。

