目の前が白くなる。
――諦めるな。
ああ、もう僕の――
臨界点。
――諦めるんじゃない、玲。
緋狭さんの声が聞こえるなんてね…。
そんな時。
耳慣れた機械音がしたんだ。
それは勝敗がついた時に流れるファンファーレ。
それは闘いの終了を告げている。
え?
僕、死ななくていいの?
僕は、瞑った目を開けた。
それは呆気ない結末。
暫し目を瞬かせれば…
ゆんゆん一派は動きをぴたりと止めていて。
まるで時間が止まっているように。
僕は恐る恐る…ドラゴンの頭に近付いて見た。
炎すら、止まっている。
何?
僕助かったの?
何で?
だけど思う。
緋狭さんは…また僕に力をくれたのだと。
熾烈な赤の…僕の魔法使い。
僕は――
生かされたんだ。
夢を…現実に出来るかどうかは、
僕の頑張り次第と言うことか。
だったら――
僕は前に進むだけ。
歪んだ電脳世界の先には、"僕"も"芹霞"もいなかった。
その代わり、外界を映し出したその歪みが段々閉じられていき――
「ちょ、待って!!!」
そこに触れた時、
「!!!!」
僕の手に青い光。
そう、それは僕の操る力。
反撃をくらったんだ、僕が。

