「は!!!? 2段階!!!?」
相殺しても2段階目があるという…最終奥義は聞いたことがない。
――むふふふふ。期待しててね~、師匠。
やばい。
やばすぎる。
箒と小鳥が劇画タッチとなり、大きなドラゴンとなり、凄絶な炎を吐いた。
僕の身体は仰け反った。
ああ、今ここで僕…技を発動すればよかった!!!
タイミング的には今しかなかったのに!!!
僕にはもう…技を使えるだけの力がなかったんだ。
僕は"死"を予感した。
こんな時――
走馬燈のように思うのは、芹霞のこと。
やり残したこと、
未練ばかりが胸を過ぎる。
ああ、こんなことだったら…
僕…成仏なんて出来やしない。
そう、思わず嗤ってしまった。
何だか…
全てが低速度(スローテンポ)に目に映る。
時の歩みが、突然遅くなったかのように。
心情1つでこんなに時間の流れを変えれるというのなら、
ああ、時間を――
芹霞と共に笑いあえた時まで戻せたら。
束の間の幸せに、酔い痴れたあの時まで戻れたら。
出来やしないことに縋るなんて、どうにかしてるけど。
何でもありの此の世界で…
ありえない夢を見るくらい…
許されたっていいだろう?

