それは見るも無残な玲様の姿。
広げられた両手の甲、そして閉じられた2つの足は重なったまま――
大きな釘で打ち付けられている。
服を剥ぎ取られ露わになった胸には…
真紅色に抉られた、"ドラゴンヘッド"。
傷口から玲様の血が、真下の頭上に滴り落ちて…。
床一面にどす黒い真紅の海となっていて。
それは献身的な犠牲精神を貫いた――
敬虔で象徴的(シンボル)にも思える…不可思議な光景。
しかし、神聖な十字架の"真逆さ"のみに意味を持たせるというのなら。
神への反駁。
それ故の贖罪。
大罪人が辿る…悲惨な最期。
レイサマノツミハナニ?
ああ、何てこと!!!
何で玲様が!!!?
私の呼吸が乱れた。
「玲様、玲様!!!?」
しかし鳶色の瞳は開かない。
ぴくりとも動かない。
そんなの認めたくはない。
玲様が…玲様が!!!
私は……玲様を助けようと…
「違う、あれは――
玲くんじゃないッッ!!!」
そう叫んだのは芹霞さんで。
「玲くんじゃないの」
「え!!?」
私の目の前にいるのは、どう見ても玲様で…。
「あれが…本当の玲くんを封じている。
…そんな気がする」
芹霞さんは目を細めて、言い難そうにそう言った。
そして――
「煌に斬らせて」
「は!!!?」
物騒なことを言い出した。

