シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

それは見るも無残な玲様の姿。


広げられた両手の甲、そして閉じられた2つの足は重なったまま――

大きな釘で打ち付けられている。


服を剥ぎ取られ露わになった胸には…

真紅色に抉られた、"ドラゴンヘッド"。


傷口から玲様の血が、真下の頭上に滴り落ちて…。

床一面にどす黒い真紅の海となっていて。


それは献身的な犠牲精神を貫いた――

敬虔で象徴的(シンボル)にも思える…不可思議な光景。


しかし、神聖な十字架の"真逆さ"のみに意味を持たせるというのなら。


神への反駁。

それ故の贖罪。


大罪人が辿る…悲惨な最期。


レイサマノツミハナニ?


ああ、何てこと!!!

何で玲様が!!!?


私の呼吸が乱れた。


「玲様、玲様!!!?」


しかし鳶色の瞳は開かない。


ぴくりとも動かない。


そんなの認めたくはない。


玲様が…玲様が!!!



私は……玲様を助けようと…



「違う、あれは――


玲くんじゃないッッ!!!」



そう叫んだのは芹霞さんで。



「玲くんじゃないの」


「え!!?」


私の目の前にいるのは、どう見ても玲様で…。


「あれが…本当の玲くんを封じている。


…そんな気がする」


芹霞さんは目を細めて、言い難そうにそう言った。


そして――


「煌に斬らせて」


「は!!!?」


物騒なことを言い出した。