――は?
「情けない奴だね、あたし達を捕まえることも出来ないなんて。そう言えばあんた、昔から鬼ごっこであたしに勝てなかったよね? 何、あんた制裁者(アリス)になってもまだ勝てないの!!? うわっそれで№2のBR002を名乗る気!!!?」
何で…挑発する!!?
案の定…煌の殺気は酷くなる。
「桜ちゃん。やっぱさ…煌、あんなになっても昔のこと、覚えてるみたいだよ。完全に制裁者(アリス)じゃないみたい」
そう芹霞さんは喜ぶけれど。
「――くっ!!!」
怒り故か速度を増す煌に、私は汗をかきながら避ける羽目となる。
どうして、どうしてこの人は――。
今更…やってしまった芹霞さんを恨んでも仕方が無いけれど。
ああ……だけど!!
「煌のバーカ、バーカッッ!!」
そんなに煌を挑発しないで欲しい。
そして煌。
制裁者(アリス)になっても、そんな子供じみた挑発に乗らないで欲しい。
叩き付けられる偃月刀。
風を切る偃月刀。
避ける私。
そして煌の偃月刀は巨大化した。
「うっわあ…凄いッッッ!!
ファンタジーみたいッッ!!!」
だから芹霞さん。
喜ばないで下さい。
そして一閃。
機械から火が吹いた。
私はそこから逃れる為に身を捩ろうとした時…
「駄目、桜ちゃん。このまま煌に…あの部分を切らせて!!」
"あの部分"
それは、芹霞さんがイヤがっていた、スイッチだらけの壁。
芹霞さんは…やはりあの壁に何かを感じているらしい。
だからこその挑発か。
私は頷いて、煌を誘導する。
そして――
閃光。
煌の偃月刀が…
その壁を切り裂いたんだ。
それは…機械のスイッチに覆われた…隠し扉のようなもので。
偃月刀により開いたそこには…
その大きな空間の上方高く――
「玲くん!!!?」
玲様が居たんだ。
逆さになった十字架。
逆さ十字に…
磔になっていたんだ。

