瘴気。
瘴気。
僕の見知った顔ぶれから…
邪悪なる瘴気が漂い…狂気を紡ぎ出していた。
狂気は狂喜。
櫂が滅ぶことで喜ぶ輩が、確かにこの中にはいて。
違う。
僕は断じて喜んでなどいない。
芹霞の言葉に心を奪われ、
櫂の最期に四肢をもがれたようで。
涙しか――出てこなかった。
怒り哀しみ絶望…
混沌とした落涙。
笑いなど…出てこなかった。
ああ…
最期を笑われた櫂。
もし意識があったのなら、
櫂はきっと…判っていたと苦笑しているだろう。
生を望まれていなかった櫂。
それは僕の境遇と同じで。
僕と櫂は…同等の立場に居て。
こんな時、対等になったとしても…喜べるはずもなく。
そう――
判っていたからこそ、櫂は…乗ったのだ。
生を望まれていないのなら、
死すべきだと…潔く。
そこに"逆転"を賭けたのだ。
その覚悟も知らず…笑う輩。
――約束、して欲しいんだ。
許せない。
ダレニタイシテ?

