ウラヤマシイ。
私は――
芹霞さんを追いかけて飛び降り、そして結界で芹霞さんを包み込んだ。
コウガウラヤマシイ。
「止めて下さい芹霞さんッッ!!!
何の為に僕が居るんですか!!!」
ムジョウケンデアイサレルコウガウラヤマシイ。
「何で僕を頼らないんですかッッ!!!」
ムチャヲサセルコウガウラヤマシクテタマラナイ。
僕は無事な芹霞さんを確認しながら、声を荒げてしまった。
「僕の心臓を止めないで下さいッッッ!!!」
「は、はい。す、すみません…」
芹霞さんが、私の迫力に押されたように、引き攣った顔で謝り…そしてはっとしたような顔を向けた。
「!!! 桜ちゃん、天井!!! 思い切り穴空けて!!! 雨で…嵐でこの炎を消すの!!!」
私は裂岩糸を天井に向けた。
「!!!?」
合唱を繰り返して落ちた白い女達。
あんなに硝子が割れる派手な音がしたというのに…
見上げた天井の穴の大きさは…多分、私が煌と共に入ってきた時のもの。
女達が飛び込んで開いた大きさではなかった。
「早く!!!」
芹霞さんに急かされながら、天井の硝子を大きく粉砕すると…途端に外の激しい風雨が中に吹き込んできて。
「炎が…消されていく…」
煌が本気になれば、こんな風雨ものともしないのだろうけれど、この炎は私達を殺すためではなく、ただの威嚇だ。
その証拠に、煌はステージ上に立ちながら、こちらを見ている。
何でだ?
何で立ち止まっている?
そして気づくのは、褐色の瞳の先。
それは芹霞さんで。
芹霞さんの…首筋?
何でだ?
「桜ちゃん?」
私の様子に、首を傾げた芹霞さん。
その時、ちらりと目に入ったんだ。
赤色が。

