シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

ウラヤマシイ。


私は――

芹霞さんを追いかけて飛び降り、そして結界で芹霞さんを包み込んだ。


コウガウラヤマシイ。


「止めて下さい芹霞さんッッ!!! 

何の為に僕が居るんですか!!!」


ムジョウケンデアイサレルコウガウラヤマシイ。


「何で僕を頼らないんですかッッ!!!」


ムチャヲサセルコウガウラヤマシクテタマラナイ。


僕は無事な芹霞さんを確認しながら、声を荒げてしまった。


「僕の心臓を止めないで下さいッッッ!!!」


「は、はい。す、すみません…」


芹霞さんが、私の迫力に押されたように、引き攣った顔で謝り…そしてはっとしたような顔を向けた。


「!!! 桜ちゃん、天井!!! 思い切り穴空けて!!! 雨で…嵐でこの炎を消すの!!!」


私は裂岩糸を天井に向けた。



「!!!?」


合唱を繰り返して落ちた白い女達。


あんなに硝子が割れる派手な音がしたというのに…

見上げた天井の穴の大きさは…多分、私が煌と共に入ってきた時のもの。


女達が飛び込んで開いた大きさではなかった。


「早く!!!」


芹霞さんに急かされながら、天井の硝子を大きく粉砕すると…途端に外の激しい風雨が中に吹き込んできて。


「炎が…消されていく…」


煌が本気になれば、こんな風雨ものともしないのだろうけれど、この炎は私達を殺すためではなく、ただの威嚇だ。


その証拠に、煌はステージ上に立ちながら、こちらを見ている。


何でだ?


何で立ち止まっている?



そして気づくのは、褐色の瞳の先。


それは芹霞さんで。


芹霞さんの…首筋?


何でだ?


「桜ちゃん?」


私の様子に、首を傾げた芹霞さん。


その時、ちらりと目に入ったんだ。

赤色が。