そして煌が…動いたんだ。
顕現した偃月刀。
それを片手で、ひらりひらりとまるで蝶の如く。
次々と、宙に弧を描く…頭部。
目を抉る蝶と、それ以外を首を刎ねる煌。
見事な…殺戮の連携プレイ。
会場は大パニックで。
私は暴れる人波に邪魔され、煌に行き着かない。
視界に縦横無尽に動き回る橙色。
重低音に混ざる甲高い悲鳴。
回る照明が、真紅色を映し出す。
ふと――
妙なことに気づいた。
目を抉られている人間に、男性がいないことを。
そうだ。
渋谷でも北新宿でも、狙われたのは少女ばかり。
考えてみろ。
桜華の時も…そうではなかったか?
蝶は…少女だけを狙うのか?
だったら何故、遠坂由香の兄、榊は…目を抉られた?
そして煌。
煌は…目を抉られた少女達の首は刎ねていない。
確かに絶命するのを見越していれば、自らの手を下さなくてもいいのかもしれないけれど。
動きを見ていれば…選んでいる気がしたのだ。
煌があえて手を下さぬ少女は、時間差で蝶に目を抉られて。
あるいは…蝶すら寄りつかぬ少女に煌が見向きもしないこともある。
あの凄まじい速度で、瞬時に…首を刎ねるに価するかどうか、判別している気がして。
例え蝶にも煌の手からも逃れたとしても、精神状況はもう正常に戻ることはなく、廃人となるのだろうけれど。
煌の選別の意味に、ひっかかりを感じた。

