シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


そして煌が…動いたんだ。


顕現した偃月刀。


それを片手で、ひらりひらりとまるで蝶の如く。


次々と、宙に弧を描く…頭部。


目を抉る蝶と、それ以外を首を刎ねる煌。


見事な…殺戮の連携プレイ。


会場は大パニックで。


私は暴れる人波に邪魔され、煌に行き着かない。


視界に縦横無尽に動き回る橙色。


重低音に混ざる甲高い悲鳴。


回る照明が、真紅色を映し出す。


ふと――

妙なことに気づいた。


目を抉られている人間に、男性がいないことを。


そうだ。


渋谷でも北新宿でも、狙われたのは少女ばかり。


考えてみろ。


桜華の時も…そうではなかったか?


蝶は…少女だけを狙うのか?


だったら何故、遠坂由香の兄、榊は…目を抉られた?


そして煌。


煌は…目を抉られた少女達の首は刎ねていない。


確かに絶命するのを見越していれば、自らの手を下さなくてもいいのかもしれないけれど。


動きを見ていれば…選んでいる気がしたのだ。

煌があえて手を下さぬ少女は、時間差で蝶に目を抉られて。


あるいは…蝶すら寄りつかぬ少女に煌が見向きもしないこともある。


あの凄まじい速度で、瞬時に…首を刎ねるに価するかどうか、判別している気がして。


例え蝶にも煌の手からも逃れたとしても、精神状況はもう正常に戻ることはなく、廃人となるのだろうけれど。


煌の選別の意味に、ひっかかりを感じた。