俺はたまらず画面に駆けつけ、俺も電源を探そうと躍起になった。しかしこの機械の構造が判らない。電源が場所が判らない。
判らねば、腕力で…或いは紫堂の力で、機械を破壊する気だった。
「紫堂、電源があった!!」
遠坂に言われて、見つけ出した電源ボタン。
それに飛びついて、まさに押そうとした時。
「駄目だ、紫堂櫂ッッ!!!」
久遠が立ち上がって叫んだ。
「そのレグの機械は…ゲーム専用じゃないんだッッ!! "約束の地(カナン)"の遊園地の動力源。ジェットコースターだって動いているんだぞ!?
突然それが止まったら、外の連中は怪我どころか…死んでしまう。多くの子供が…子供がいるんだッッ!!!」
だけど俺は――
玲を死なせたくないッッ!!!
「紫堂櫂ッッ!!! お前は――
紫堂玲たった1人の命を救う為に、
多くの人間の命を犠牲にする気か!!?」
久遠の言葉が心に突き刺さる。
俺は歯軋りをした。
1段になってしまった玲のHP。
容易に想像できる。
遊園地の惨状。
泣き喚く人々。
嘆き悲しむ家族。
遊園地は管理責任を問われ、そして閉鎖に追い込まれるだろう。
各務家の責任も紫堂の責任も追及されるだろう。
利は…全くない。
ただ玲の命が助かるというだけ。
それでも。
それでも俺は玲を――。
「ああああ、師匠のHPが…ッッッ!!!!!」
玲を助けたいんだ。
その為の責めなら、全て俺が負うから。
だから俺は――。
震える指先を電源に伸ばした。

