「由香。紫堂櫂が煩いんだって」
「はあ…判ったよ、今そっちの画面見るから。紫堂怒らすと怖いからな。
ああ、司狼、このボタン連打してろ。いいか、1秒間に20回。それで奥義への気力ゲージが早く留まる。
もう…早く片をつけてやる」
「はあ!!!? 1秒間に20回!!!? ぬおおおおおお」
カタカタカタカタカタ…。
「旭はこのキーを1秒間に35回。司狼が溜めた気力ゲージから奥義が発動される。司狼のゲージがMAXになれば最終奥義発動だ。頑張れよ」
「きゃははははは!!! 旭頑張る~」
カタカタカタカタカタ…。
「蓮、ちょっと来てくれ。君にしか高等技術は頼めない。いいかい、このキーがパンチ、こっちがキック、こっちがジャンプ。これが防御ね。相手の攻撃を躱して、しっかりと攻撃してくれよ?」
「判った。責任重大だな」
カタカタ、カタカタ…。
「ぬおおおおおおお!!!」
「きゃはははははは!!!」
「少し黙れ、お前達!!!」
凄まじい…キーの叩かれる音。
破壊される寸前だ。
その間に遠坂が、俺が打込んだ画面を覗き込んでいて。
そして俺を見た。
「紫堂。やっぱりどう考えても、その0と1の配列は…言葉として機能している。師匠からの伝言だ、根拠はある。…対戦相手は師匠なのか。
師匠の伝言、まず冒頭は――」
俺は息を詰めて遠坂を見る。
遠坂は、真剣な口調で言った。
「『ジャイ子の本名に――
全ての謎が隠されている』」
俺は目を細める。
ジャイ子って…"ドラえもん"の?
ジャイアンの妹の…?
本名…?

