シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 


何だ…これは。


いたぶっているのか?



「無駄に…時間を引き伸ばしている気がする」


蓮が、久遠に呼応するように呟いた。


「決勝戦では長くなった時間制限を、フルに使おうとしているのか。そしてどうする気だ? 決勝戦らしく、焦らして逆転勝利でもする気か…?」


「"軍神"を焦らしプレイなんて…許さないぞ!!? こうなったら強硬で連続奥義を…はわわわ、何でそんなに避け上手なんだ!!? ああ、折角溜めたゲージ!!! って、おいッッ!!! 今奥義返し出来るチャンスだったのに、何故やらない!!? ああ、判らない~。こいつ、玄人なのか素人なのか」


「きゃはははは。れいくん疲れてきちゃったね~」

「だから、師匠じゃないんだってば!!」



その時だった。


僅か一瞬だったけれど…


対戦キャラが…


玲に似ているキャラが…


心臓に手を押さえた気がしたんだ。


見間違えかも知れない。

多分、そうなんだろう。


"疲れてきちゃった"



玲に似ているという先入観が見せた幻。


だけど俺は――

それを兆候(シグナル)のように感じて。


しつこい程繰り返される"単調"の動き。


まるで信号…。



信号?


パンチとキックに信号?