何だ…これは。
いたぶっているのか?
「無駄に…時間を引き伸ばしている気がする」
蓮が、久遠に呼応するように呟いた。
「決勝戦では長くなった時間制限を、フルに使おうとしているのか。そしてどうする気だ? 決勝戦らしく、焦らして逆転勝利でもする気か…?」
「"軍神"を焦らしプレイなんて…許さないぞ!!? こうなったら強硬で連続奥義を…はわわわ、何でそんなに避け上手なんだ!!? ああ、折角溜めたゲージ!!! って、おいッッ!!! 今奥義返し出来るチャンスだったのに、何故やらない!!? ああ、判らない~。こいつ、玄人なのか素人なのか」
「きゃはははは。れいくん疲れてきちゃったね~」
「だから、師匠じゃないんだってば!!」
その時だった。
僅か一瞬だったけれど…
対戦キャラが…
玲に似ているキャラが…
心臓に手を押さえた気がしたんだ。
見間違えかも知れない。
多分、そうなんだろう。
"疲れてきちゃった"
玲に似ているという先入観が見せた幻。
だけど俺は――
それを兆候(シグナル)のように感じて。
しつこい程繰り返される"単調"の動き。
まるで信号…。
信号?
パンチとキックに信号?

