「人工知能みたいだ。
"機械"も対戦相手となりえるのか?」
そう。
"学習"して"成長"する"機械"など――
まるで人工知能じゃないか。
「機械!!? この大会は全て"人間"が相手だぞ!!?」
「だがお前の相手は、お前の動きを読んで先回りし始めている。ゲームの技巧がどうのの問題ではなく、お前のパターンに慣れ、何より闘い自体…"闘い慣れ"した動きに変わっている」
確かに。
玲もどきの動きは、当初に比べて格段によくなり…そして洗練されていくその動きがまた、益々玲の動きを彷彿とさせる。
「だけど、パンチとキックで…奥義なんて全然出さないし」
カタカタ、カタカタ。
「相手は、奥義をわざと出していないんじゃないか?
単調の動きをなめるな、由香。
お前はそんな相手に、勝てずにいるんだ」
カタカタ、カタカタ。
「優勝…優勝したいよ~ッッッ!!」
左側が遠坂のゲージ。
右側が"ZERO"のゲージ。
ふと――
おかしなことに気づく。
同じ動きを繰り返していないか?
遠坂はリズムが狂わされたと嘆いていたが、逆に…同じリズムで回っている気がする。
遠坂と"ZERO"の、パンチとキックによる攻撃パターンが、一定周期で成されている気がするんだ。
例えば、遠坂が連続5回のパンチ技を繰り出せば、"ZERO"は2回のパンチの後、1回蹴り上げ…というように。
それが組み合わさって、何度も同じ攻撃パターンがなされている気がする。
遠坂は気づいていないのか?
偶然?
"単調な動き"
久遠は、そのこと言っているのか?

