「大体さ、何で闘っているゲームキャラの動きを見て、ボクの対戦相手が師匠だと思うのさ。ゲームのキャラと操作している人間は連係していないって。
百歩譲って師匠だとしても、師匠の優雅な闘い方が、何でキャラまで真似できるっていうのさ。多少は…服アイテムによる奥義の育成系要素はあるけれど、"パンチ"や"キック"なんて基本の闘い方は選んだキャラの規定プログラムに準じて一律だし、遊技者がその後細やかに攻撃方法をカスタマイズ出来る…そんな隠し要素があるなんて聞いたことないぞ?」
確かに遠坂の言う通り、キャラの動きが玲に似ているからと言って、遠坂の対戦相手が玲だとは言えない。
普通に考えて、ゲームのキャラで登場しているということは、前もって作られたプログラムに従属したものが、"たまたま"玲に似ていたというだけのこと。
無限大に近い戦闘パターンとキャラ構成が、"たまたま"玲に似てしまっただけのこと。
そこに意味を持たせては、ただの"偶然"が"必然"に逆転してしまう。
不条理な…出口無き円環の迷宮を彷徨う羽目となる。
そう。
これはただのゲーム。
玲に似ているのは、"たまたま"なだけ。
余計なことを考えすぎるな。
だけど。
それでも妙な胸騒ぎがするんだ。
たかがゲームのキャラ。
されど…
"たかが"と見過ごしていいのだろうか。
"たかが"と思うモノに、意外な重要性があるのではないか。
何故――
数ある戦闘パターンの中で、
玲のものが選ばれた――?

