まるで俺達が元老院に対面する時のような…黒い正装に酷似したデザインの服を身につけ、遠坂の操る"ゆんゆん"のように、立体的な3Dキャラというよりは、2Dアニメの…端麗な王子様のような対戦相手。
玲に似ているのは…闘い方だけではない。
髪も瞳の色も鳶色で…見れば見る程、雰囲気すら玲に似ている気がする。
「ゆんゆん、れいくんがんばれ~!!!」
旭の言葉から察するに、玲と酷似していると思うのは…俺だけではないみたいだ。
「旭~。あれは師匠じゃないってば。ゲームキャラ!!! 初めて見るキャラだけれど…確かに何となく師匠に似ている気が…はッッ!!! 君が変なこと言ったから、伝染しちゃったじゃないかッッ!!!」
カタカタ、カタカタ。
遠坂の凄まじい手の動きは止まることなく。
「ゆんゆん、技爆発~!!! きゃはははは、また避けられちゃったね、れいくんも強いね~」
「だから~」
カタカタ、カタカタ。
「由香。お前の対戦相手は紫堂玲ではないのか?」
蓮の問いかけに、遠坂は首を横に振った。
「そんなはずないじゃないか~。師匠は今ゲーム所じゃないだろうし、同じ"ZERO"だろうが…参加してくるなら、前回データ引き継いだ"全能神"で堂々乗り込んでくるよ。仮に前回データ引き継ぎ出来なくて、そこいらのアーケイドから参加していたとしてもさ、師匠ならいつもの如く、それはもう容赦なく…裏奥義炸裂して瞬殺だから。本当に華々しく即散らされるから」
玲も伊達に"全能神"を名乗っていないらしい。
画面の中の玲に似たキャラは、そんな派手派手しいことはせず、どちらかといえば基本的な動きで堅実だ。
カタカタ、カタカタ。
それでも遠坂がすぐに勝てない相手だ。
遠坂が奥義を繰り出しても、致命的なダメージには至らない。
玲のように…思わず見惚れる程の、まるで舞ってでもいるような…流れる動きで避けられる。

