「ひいい!!? 段位でもノーダメージTKO!!?」

「何だアレ、何だアレッッ!!! あんな大技あったか!!?」

「うわうわうわッッ!!?」

「何で、"統帥"を瞬殺!!?」


外野は煩いけれど、僕は時間短縮の為に裏奥義を駆使して順調に勝ち進む。

本選は20回目の対戦で勝てば、決勝戦となる。


ようやく18回連勝できた。

やるからには優勝はしたい。


しかし。


何で僕、こんな処でゲームをしているんだろう。

僕は、芹霞と"お試し"をしたくて…


ひやり。


僕がそう惑う度、芹霞の手が、僕の首筋に触れる。


冷たい。

氷のように冷たい。


僕はそちらの方が気になって。


「玲くん…集中…」


芹霞の声がまるで機械のように聞こえてきて。



背筋が、冷気にざわついてくる。


瘴気が強くなってきている。


僕が勝ち上がれば勝ち上がるほど、瘴気の濃度は濃くなってきて。



「集中……」



その時だった。



突如視界が歪み――

反転したのは。



「え!!!?」



それは青と緑の光が入り乱れる…

電子基板のような景色。



凄まじい速度で映り変わりゆくのは、

――…0と1の数字。



僕は…電脳世界に居たんだ。