シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
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ドドーン。


激しく鳴り響く雷は、僕の慟哭。



あんなに天気が良かったのに――

嵐の最中に、僕達は…僕は居た。



段々と激しさを増す雨。


僕はそこから動けない。


動くことができなかった。


仮面のように感情を殺した顔を向ける芹霞の、その心を解したくて…僕はただひたすら、華奢なその身体を抱きしめていた。


芹霞の雨は全部僕が受けるから、だからどうか芹霞の心を晴らして欲しいと。


そればかりを祈り続けた。


そんな僕に響いた声。



「玲くん…

"お試し"はもう…必要ないよ。

――帰ろう。疲れちゃった」



僕の目から溢れる涙が――

絶え間なく降り注ぐ雨と混ざり…激しく流れ落ちる。



心が痛くて仕方が無い。

呼吸の仕方が判らない。


身体が震える。


これは…発作のせいじゃない。

これは…寒さのせいじゃない。


こんなはずじゃなかった。


僕は…僕から離れようとする芹霞を、抑えつけるようにして強く強く抱きしめた。


「芹霞、好きだよ…」


震えて掠れた僕の声は、雨音に溶けた。


「玲くん、聞こえなかった? "お試し"はもう…」


聞こえない。


「僕は、君が…好きで好きでたまらないんだ」



「玲くん、こういうことはもうやめに…」


何も聞こえない。



僕は聞こえてないフリをして、嗚咽を漏らしながら愛を囁く。



「君は、僕の…恋人なんだ、芹霞」


「だから玲くん…」


どんなにみっともなくても。


「好きなんだ…君しかいないんだ」


どんなにうざがられても。


僕は――

まだ引けないんだ。


諦めたくないんだ。