――これね…玲くんのプレゼントだったんだ…。
――久涅に包み破られちゃって…ごめんね、"こんなもの"で。
――だけど…今出来る…精一杯の気持ちだったんだ。
――良かった、渡す前で。…恥かく処だった。
僕は、僕自身に嫉妬し、芹霞の心を壊してしまった。
能面のような顔。
僕は芹霞の笑う顔が大好きなのに、芹霞は笑わなくなってしまった。
何より芹霞を酷く傷つけてしまった。
後悔。
悲傷。
焦燥。
芹霞の目は僕を見ていない。
僕に対して…感情を見せてくれない。
そこには…僕へのいつもの好意すら何もなくて。
虚無。
僕を見て赤く顔を染める芹霞の姿は、そこにはなかったんだ。
やばい。
やばい。
やばい。
僕の心に鳴り響く警鐘。
――芹霞、お願いだから聞いて。僕は…。
焦る僕に…遠い目をした芹霞は小さな欠伸をして、少し首を掻いた。
呆れ返っているような…欠伸。
僕の言葉を拒否している欠伸に。
駄目だ。
このままだと…。
僕は…顔を傾けてその唇に口付けた。
言葉より早く、僕の心を伝える為にはそれしかなくて。
だけど…
芹霞の唇は冷たく渇いていて。
あのしっとりと濡れた感触は感じられなくて。
僕の目から…後悔の涙が零れ落ちる。

