シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


――これね…玲くんのプレゼントだったんだ…。

――久涅に包み破られちゃって…ごめんね、"こんなもの"で。

――だけど…今出来る…精一杯の気持ちだったんだ。

――良かった、渡す前で。…恥かく処だった。


僕は、僕自身に嫉妬し、芹霞の心を壊してしまった。


能面のような顔。


僕は芹霞の笑う顔が大好きなのに、芹霞は笑わなくなってしまった。


何より芹霞を酷く傷つけてしまった。


後悔。

悲傷。

焦燥。



芹霞の目は僕を見ていない。

僕に対して…感情を見せてくれない。


そこには…僕へのいつもの好意すら何もなくて。


虚無。


僕を見て赤く顔を染める芹霞の姿は、そこにはなかったんだ。


やばい。

やばい。

やばい。


僕の心に鳴り響く警鐘。


――芹霞、お願いだから聞いて。僕は…。


焦る僕に…遠い目をした芹霞は小さな欠伸をして、少し首を掻いた。


呆れ返っているような…欠伸。

僕の言葉を拒否している欠伸に。


駄目だ。

このままだと…。


僕は…顔を傾けてその唇に口付けた。


言葉より早く、僕の心を伝える為にはそれしかなくて。


だけど…


芹霞の唇は冷たく渇いていて。

あのしっとりと濡れた感触は感じられなくて。



僕の目から…後悔の涙が零れ落ちる。