シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
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そう。


僕は嫉妬に取り憑かれていた。

完全に状況が把握出来ていなかった。



瘴気に包まれていた此の場所に、1人にしてしまった芹霞。

人為的な攻撃から、芹霞を救ったのは僕じゃなく。


その間に久涅と芹霞の仲は深まり…"同棲"話。

芹霞が…僕から離れて行くように思えて。


――紫堂櫂を愛してる!!


僕は…久涅の姿は櫂にしか思えなくなっていた。


芹霞は、僕ではなく――

櫂と愛を育もうとしているのだと思った。


どんなに記憶を無くしても、惹かれるのは櫂だけだと。


ああ――

時間が巻き戻せるのなら…


嫉妬に狂った僕を殴り飛ばしてやりたい。


よりによって僕は、芹霞からの心を自分で地面に叩き付けた。



芹霞の目の前で。


いつもの僕なら、そんなことはしなかっただろう。

僕が憤った…青い包みが芹霞の傍らで破かれていたのに気づいたろう。

そのバングルに、僕の守護石がついていたことにも気づいたろう。


仮に芹霞が久涅にプレゼントしたとしても、それを久涅が僕に寄越すわけがないと…気づいたはずだった。



だけど僕は…何も気づけなかった。



言い訳が許されるのであれば――


僕は、"錆びる"という言葉に激昂したんだ。

僕の想いまでが穢された気になったんだ。


我武者羅にしがみついた"次期当主"。

同様に僕だけがしがみつく"お試し"。


とにかく必死に、芹霞の愛に縋る僕を――

笑われて馬鹿にされた気になったんだ。



――紫堂櫂を愛してる!!!



櫂に――。