「何か…玲くんとは、
棲む世界が違うんだね」
その言葉で、僕は正気に返る。
目の前の芹霞は――泣いていて。
その表情には…僕を意識してくれていたあの色はなくて。
深い哀しみに暮れた顔。
そして…何かを覚悟した顔。
僕は悟ったんだ。
ただ芹霞を手に入れたかっただけなのに、
芹霞を突き放すことをしてしまったんだと。
それだけならまだいい。
芹霞の表情は…何を示すのか。
線引きをされた…?
それはつまり――
心臓が、嫌な音をたてた。
オタメシハオワリダ。
何処かで何かが嗤った。
駄目だ。
嫌だ。
僕を見限らないで、芹霞。
店から出て行ってしまった芹霞。
僕は慌てて追いかけたんだ。
だけどいない。
芹霞がいない。
「くそっ!!!」
僕が破滅する…カウントダウンが聞こえた気がした。
芹霞との仲が…完全に終焉してしまうような予感。
勝手に…芹霞からの恋心を消した僕は。
その代償に…芹霞への愛を失うのか。
これが僕の贖罪だというのか。
僕は、芹霞の運命の相手にはなりえないのか。

