だから一層、僕は"モノ"で芹霞を縛り付けようとした。


ペアリングという名の拘束具で、

僕の薬指と芹霞の薬指、"運命"の指に。


それは僕にとって――

"永遠"を得る為の儀式(イニシエーション)


僕から逃れられないように。

他に余所見をさせないように。


だけど芹霞は…それを拒んだんだ。


――玲くん、此処の凄く高いの。…あたし別に指輪なんていらないから。出よう。


値段が何?

僕からの指輪が嫌なの?


"指輪なんて"


深い哀しみが苦痛と絶望を伴い、僕の中で何かが弾けた。


黒い…嫉妬の汚泥が僕の心を包み込んだ。


芹霞にプレゼントされる男が妬ましくて妬ましくて仕方が無い。


僕の"愛"の中にいる芹霞に、僕以上に芹霞の意識を向けさせられる奴が憎くて仕方が無い。


僕は何?

僕は道化師?



――君が必要なくても、僕には必要なんだ!!!


嫉妬。

嫉妬。

嫉妬。


指輪に取り縋る、醜い男の感情。

愛を独占したい、子供のような駄々。


――君には"たかが"アクセサリー"かもしれないけれど、僕にとっては重要なことなんだ。


芹霞と僕の温度差。


"たかが"そんなものに縋らないといけない僕は、君の目にはどう映っているんだろう。