私が見間違えるはずはない。


何より目に鮮やかな、橙色の髪。

精悍な…野生的な顔。



「てめえ――

何をやってる!!!?」



驚愕とか仰天とか…

普通はそんな感情を覚えるかも知れないけれど、

私の中で沸々と湧き上がったのは――


――…怒り。



「櫂様玲様ほっぽって、

何をしてるんだ!!!?


この――野良犬がッッ!!」



煌は、私の癇に障るような…意味ありげな流し目をくれると…

幾重にも重ねた緊縛の糸を、一瞬にて弾き飛ばした。


さも…

わざと縛られてやったとでもいうように。



そして宙をひらりと舞い…


屋上からまるで水面に飛び込むかのような軽やかさで、

惨劇の中に飛び降りたのだ。



外套を翻して地面に足をつけた煌。

手には顕現した偃月刀。



銀の閃光を放つそれは…



「きゃああああああ」



惑って立ち竦む…生きた少女達の首を刎ねたんだ。


次から…次へと。


それは少女だけではなかった。


男も女も老いも若きも――。


気紛れのように、手当たり次第に。